フィルムってどんなもの??
こんにちは、ソラリスの橋本です。
フォトウォークでは、フィルムで撮影していれば、印画紙/インクジェット用紙などプリントの出力方式は自由!というルールになっています。
じゃあ、どんなプリントの出力方式があるの??そもそもフィルムってどんな仕組みなの??などなど、説明してみます(とにかくわかりやすく書こうと思います)。
フィルムって??
街で売られているこれ。
このベロンと出ているペラペラの部分、これがフィルムです。
ケースの部分はパトローネといって、この中にフィルムがクルクルとトイレットペーパのように入っています。
こんな感じです。24枚撮りなら約90cm、36枚撮りなら約150cmの長さのフィルムがケースの中に入っています。
フィルムの端は、ケースの中央にある芯にひっついています(フィルムを引っ張り出した時に回る部分が芯です)。ケースの中には光が入らないようになっているのがポイントです。
さてフィルムは、カメラにセットした時に必ずレンズの方を向く面と、そうでない面があります。
このレンズの方を向く面には、光に反応する「感光乳剤」というものが塗られています。反対側は「ベース面」といいます。
イメージ的には、ベースの上に光に反応する乳剤が均等に塗られていると考えてください。
例えばカラーネガの場合、図で書くと、下のような感じ(ほんとはもっといろんな層があるんですが、わかりやすくするため省略してます)。
この薄いフィルムの上には、こんないろんなものが塗られているんです!しかも均等に!すごいぞ!
さて、フィルムをカメラの中に入れてみましょう。
カメラの中は外から光が入らないよう、真っ暗になっています。
シャッターを切ると、レンズを通ってきた光だけがフィルムに当たります。
フィルムを巻き上げると、フィルムが進んで、光の当たっていない部分がフィルムケースから引っぱり出されます。
ふたたびシャッターを切り、レンズを通ってきた光だけがフィルムに当たり、また巻き上げる。。。これを繰り返して撮影をしていきます。
さて、こうしてフィルムに像は記録されているのですが、まだこの状態だと像が肉眼では見えません(この状態を「潜む像」ということで「潜像」といいます)。
撮影が終わったフィルムは、真っ暗なカメラの中でいったんフィルムケースの中に戻し、取り出します。
だいたいこのあとはお店に持ち込んで処理してもらうと思うのですが、そこではどんなことが行われているのでしょうか。
現像って??
撮影済みのフィルムはケースから取り出され、光が当たらない中で、いくつかの化学薬品によって処理されます。
そうすると肉眼で見える像が現れます。「像が現れる」ということでこの一連の薬品処理のことを「現像」といいます。
お店では機械で処理するのですが、こういう機械を「自動現像機」、通称・自現機といいます。これを持っているお店も最近は減りつつあり、持っていないお店だとフィルムを預かったあと他のお店に送ったりして処理するので時間がかかります。逆に、自現機を持っているお店だと処理が早いというわけです。
処理が終わったあとは水洗+乾燥をして出来上がり。このままだとすごく長いので、フィルムを6コマごとに切り、スリーブに入れて取り扱いやすくします。
ほら、お店で現像したらこういうのもらいますよね。これが現像済みのネガフィルムです。
これは色と明暗が反転して記録されています。
これを印画紙にプリントしてやると、その過程で色と明暗がふたたび反転し、何が写っているかわかるような像が現れます。
(ちなみに印画紙というのは、フィルムと同じように「光に反応する乳剤」が塗られている紙のことです。フィルムと同じように光を当てたあと、薬品で処理することで、像が現れます)。
ところで最近、CD書き込みをして、この現像済みのフィルムは捨てる人がいるという都市伝説を耳にしたのですが、それ絶対ダメですヨ!
ネガフィルムからは、いろんな色・明るさのプリントが作れます。たとえば、このとおり。
これは全部同じコマから焼いたものです。フィルムは、あの小さなコマのほんのわずかの薄さの中に、いろんなプリントが生まれる可能性を持っているのです。
CD書き込みというのは、その可能性の中から一部分をデータにした状態です。モニターやスマホで見るには便利ですが、多くの場合、プリントできるサイズも小さなものです。
なので、お店でフィルムからプリントしてもらう時は、CDを持ち込むのではなく、現像済みのフィルムを持ち込んだほうがよいでしょう。
ただし、ここでひとつアドバイスがあります。
色見本って??
さっき見てもらったように、カラーネガフィルムはいろんな色や明るさでプリントができます。
逆に言うと、カラーネガフィルムには「どこでプリントしても、毎回必ずこの色・明るさでプリントされる」というような基準がありません。
これはポジフィルム(スライドフィルム)ですが、これだとフィルムに色と明るさがそのまま記録されているので、誰がプリントしても同じ色・明るさでほぼプリントできます。プリントの基準があるということです。
はい、これネガフィルム。ネガフィルムにはポジフィルムのような基準がないので、プリントする人次第で色・明るさが変わってプリントされます(そこが魅力でもあるのですが)。
なので、お店がプリントしてくれる色や明るさは、たくさんの可能性の中から写真屋さんが「こんな感じかな」と選んでくれた色・明るさなのです。
それが自分のイメージと違うなら、写真屋さんにそのプリントを見せながら「もうすこし明るくしてほしい」とか「もうすこし赤みを足してほしい」とかお願いしてみましょう(まずはL判サイズくらいで気に入るプリントができるまで繰り返していきましょう)。
そうやって満足のいくプリントになったらそれを「色見本」とします。
もしその写真を大きくプリントしたいときは、フィルムとともにその色見本を添えてプリントをお願いしましょう。そうすれば写真屋さんもその色見本を基準にしながらプリントができます。
この話をすると、たまに「家でインクジェットで出したプリントを色見本にしてもいいですか?」と聞かれるのですが、インクを紙に吹き付けるインクジェットと、紙の内側から発色する印画紙では発色の方法が違うので、同じ色に揃うことはありません(部分的に近い色でも、全体として違うとか)。
イメージを伝えるものとしてはあってもいいかもしれませんが、インクジェットと印画紙をならべて「違うじゃないか!」と写真屋さんを責めるのはお止めくださいネ。頑固親父の店ならつまみ出されまっせ。
プリントの方法について
インクジェットと印画紙の話が出ましたが、それでは今、フィルムからのプリント方法としてはおもにどんなものがあるのでしょうか。
©橋本大和(solaris)
「フィルムに直接、光を当てて印画紙に露光して、現像処理する」、これが暗室での手焼きや、2000年頃まで街の写真屋さんの機械で行われていたプリント方式で、いわゆる昔ながらのプリント方式です。
アナログ露光や、アナログプリント、光学式(レンズ)露光などとも呼ばれますが、むかしは単に「銀塩プリント」と呼ばれてました。次に出てくるデジタル方式が出てくるにつれ、対してアナログと呼ばれるようになったという感じです。
いま、お店で主流のプリント方式が2段目の「デジタル銀塩プリント」です。「フィルムをいったんスキャンし、データ化したものをレーザーで印画紙に露光して、現像処理する」という方式で、レーザー露光や、デジタルプリントなどとも呼ばれます。
従来の機械ではフィルムしか焼けませんでしたが、フィルムからもデジカメからもプリントできるよう、この方式が普及しました。
上記2つはともに印画紙でプリントする点は同じで、プロセスが異なるということです。
印画紙でのプリント以外には、「フィルムをスキャンし、データ化したものをインクジェット用紙にプリントする」という方法があります。
インクジェットプリンターを自宅に用意すれば、自宅で最後まで仕上げられるほか、高級機種になると、インクの種類が多くなり、より豊かなトーンをプリントできます。
また印画紙もインクジェット用紙も、豊富な面質(用紙の種類)が販売されており、イメージに合わせてどれを選ぶかによって作品の印象が大きく変わって仕上がります。
※お店でのプリントの場合、お店によって取り扱いの面質は変わります
ほかにもコンビニなどでのカラーコピーなどもありますが、おもなプリント方法はこんな感じかなと思います。
じゃあそれぞれのトーンや仕上がり感の違いって??それは、OSAKA FILM PHOTOWALKの会期中に会場で様々なプリントが並ぶと思いますから、ぜひあなた自身の目でご覧くださいませ!!!
あとがき的な
ながくなったので、ひとまずここで止めようと思います。
写真は何が写ってるのかが大事。そう、フィルム、デジタルを超えて、それが一番大事なことだと思っています。
しかしOSAKA FILM PHOTOWALKは、フィルムを楽しむ6日感ですので、フィルムってどんなものなのかや、今まで知らなかったことにも触れてもらえると嬉しいなと思い、一生懸命書いてみました。
ほかにもフィルムについて知りたいことあれば、ぜひ会期中、会場にてお気軽におたずねください。フィルムのことを知ると、フィルムともっと仲良くなれますヨ!
最後に宣伝!
10/19(土)、10/20(日)にプレイベントとして、ソラリスにてカラー暗室ワークショップを開催します。暗室のなか自分の手でカラー写真をプリント体験するワークショップです。
暗室に興味があるかた、ぜひお越しください!
▼くわしくはこちら
(図・文 橋本大和[solaris])
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